近藤史恵さんの『シフォン・リボン・シフォン』を読みました。
近藤史恵さんの作品は今年に入って3冊目。はまっています。
ちょっとだけ謎めいた部分もありつつ、日常生活の延長線上の困りごとが最後には明るい方向へ踏み出すという流れに安心感を抱きます。
今回も温かさのあるお話ながら、一筋縄ではいかない様々な家族の関係を描いています。
シフォン・リボン・シフォン|作品紹介
下着が人の気持ちを変える? 弾ませる? 東京のファッションビルの一角でランジェリーショップ「シフォン・リボン・シフォン」を成功させた水橋かなえは、母の介護のため、活気をうしないつつある地方都市に戻ってきた。まだ30代の彼女は、通信販売で固定客を得ていたこともあって、この街でも店を開く。機能的な下着から自由でチャーミングなものまで、いろいろ勢ぞろい。さびれた商店街にできたこのちょっと気になるお店に、やがて人々は引き寄せられる。かなえと同様に介護生活をおくる32歳の佐菜子、米穀商店の女装する若い息子、旧家の時代を忘れられない年配の女性……。レースやリボン、小さい花柄をあしらった下着が、彼らの人生をほのかに弾ませる。母と娘の屈託、息子と父の反目、嫁と姑の気詰まりをなぜかほどいていく。小さな人生模様がえがかれ、摩訶不思議でほのぼのとした小説集。
書籍:シフォン・リボン・シフォン – 朝日新聞出版
シフォン・リボン・シフォン|感想
表紙の雰囲気から、可愛らしいお話なのかなと思っていたらちょっと違いました。
自分のために用意するものに対して、可愛いやきれいを大切にして選ぶということは、すなわち自分自身を大切にするということなのですよね。
近すぎたり、自分の思い込みで相手自身を見れていなかったり、抑圧するような方法でしか相手とつながれなかったり……。あるいは自分を大切にしてほしくて、おかしな行動をとってしまったり。
自分自身を大切にするって、自分を犠牲にしたり自分が我慢をすることより、ある種の人たちにとっては難しいことなのですよね。何か弱みがある(と思わされている)人で、その弱みに巧妙につけこむ人がまわりにいる場合は。
でも、下着って基本的には誰からも見られません。その下着を自分が喜ぶものを選ぶことによって、少しづつ自尊心が育ち、自分と周りの関係を冷静に見られるようになる。共依存の関係から抜け出すチャンスになる。
第1話はとくに、縛られてしまっている女性の味方となるお話だなと思いました♪