この記事では、
小野不由美『営繕かるかや怪奇譚 その弐』の
特徴や感想について書いています。
待ちに待った小野不由美さんの新刊が発売されました〜!
シリーズ2作目となる本作は5年ぶりの単行本作品ということで
楽しみに待っていた人も多いのではないでしょうか?
私もその一人で、
まさか十二国記の新作発売の年に
他のシリーズのものも出るとは思っていなかったので驚きました。
出版社の特集ページも面白いので気になる方は覗いてみてください♪
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『営繕かるかや怪奇譚 その弐』の特徴
本作は全6話からなる短編集で、
全作を通して営繕屋を営む尾端(おばな)という人物が登場します。
それぞれの物語は独立しており、
その弐から読んでも、その弐のどれから読んでも大丈夫な作品です。
長編にはない、
短編ゆえのその読み取りきれない設定のあやふやさが、
不思議なお話を引き立てているように思います。
それぞれの物語で、
建物にまつわる怖くて不思議なお話が語られ、
それを尾端ならではの修繕方法で良い方向へと向けさせる。
怖いだけではない、温かさや切なさ、
ときに健気さをも感じさせる不思議な物語です。
『営繕かるかや怪奇譚 その弐』感想
ここからは感想を書いています。
ネタバレなしバージョンと、ネタバレありバーションがあるので、
まだ読んでいない方はご注意ください!
また、私が感じたことを素直にそのまま書いているので、
その点も併せてご注意ください。
『営繕かるかや怪奇譚 その弐』感想(ネタバレなし)
小野不由美/営繕かるかや怪異譚 その弐
夏の夜にぴったりの、建物にまつわる少し怖いお話。
一つひとつのお話が怖いけどどこか温かさを感じさせるのがすごい。
営繕屋の尾端さんの、人にもヒトならざるモノにも優しい目線が良かった。
このシリーズ、これからも楽しみだな♡#読了#KADOKAWA pic.twitter.com/hLbsCT9iiB
— 楓 * (@kaede_twi) August 8, 2019
久しぶりの新作、期待を裏切らず本当に良い作品でした〜!
わりと濃い設定や複雑な物語を好むタイプなので、
短編はそこまで興味をもてないままに
「ふ〜ん」みたいな感じでサラッと読んでしまいがちなのですが、
小野不由美さんに関してはそれが起こらないのですよね。
設定のわからなさが、
むしろ不穏で不思議で知らない世界を語っているような気がして、
物語の1シーン、1シーンに集中してしまうような。
怖いけれどそれだけじゃない、
というのもこのシリーズの楽しいところですよね。
小野不由美さんを読んでみたいという人にもすすめやすい作品かなと思います!
(でも最終的には『残穢』を読んでみてほしい笑)
小野不由美さんのその他の作品を紹介
シリーズ1作目
強烈に怖い作品を読みたい方におすすめ!笑
まだ十二国記を読んでない方はぜひ!
⇩この下の感想、ネタバレありなので注意してください⇩
『営繕かるかや怪奇譚 その弐』感想(ネタバレあり)
「芙蓉忌」「関守」「まつとし聞かば」「魂やどりて」「水の声」「まさくに」
どのお話もそれぞれ面白かったです!
とくに私の好みだったのは、
「まつとし聞かば」と「魂やどりて」ですね。
「まつとし聞かば」は、
その解決方法がとても好みでした!
その一家のもとにナニかが入ってくることを止めさせず、
むしろそれが通る入り口を修繕し
浄めてくれる板を使うことでだんだんとその存在を浄化させていくなんて、
そんな発想、私にはまったくなかったのでとても新鮮でした!
このシリーズにおけるキーワード、
“営繕”による見事な解決!って感じが好きなのです。
そもそも猫好き、動物好きなので
化け猫でも可哀想な解決法はイヤなんですよ!笑
きっと満足したころにあの子は自然といなくなるんだろうと、
温かい気持ちで読み終えました。
「魂やどりて」は、
育の、周りや自分とちゃんと向き合えていないような独りよがりな感じを、
いやいや、
この人は不器用で未熟なだけでやり方をちょっと間違えただけなんですよ、
と肯定しているような態度が好きです。
書いていて思ったのですが、
わりと尾端さんがしっかり登場し、
その温かい目線をわかりやすく発揮してくれるお話が好みなのかもしれません。
ちなみに次に好きなのは「まさくに」ですかね。
ほんのちょっとしか登場しないのに、
尾端さんの立派なファンになって読み終わりました!笑
実は1作目が手元になくて、
数年前に読んだきりでどんな印象を持ったのか今となっては思い出せません。
購入して再読したいなと思っています♪
最後までお読みいただきありがとうございました。