この記事では、
高野和明さんの『13階段』の冒頭のあらすじや感想について書いています。
この作品は、2001年に第47回江戸川乱歩賞を受賞した作品で、
高野さんにとっては長編デビュー作*です。
*もともとは脚本のお仕事をされていたそうで、
その頃にすでに短編では発表されていたようです。
高野さんといえば、
2011年に刊行された『ジェノサイド』で
第2回山田風太郎賞、第65回日本推理作家協会賞を受賞し、
「週刊文春ミステリーベスト10」、「このミステリーがすごい!」にも選ばれ
この作品で高野さんについて知った人も多いのではと思います。
私もそのタイプで、
『ジェノサイド』を読み、その強烈なストーリーにど肝を抜かされました。
その後、高野さんの作品を読むことはなかったのですが、
本屋さんでデビュー作がケタ違いに面白いというポップを見かけ、
俄然気になってきて、読んでみることにしました。
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『13階段』冒頭のあらすじ
仮釈放中の青年・三上は刑務官の南郷に誘われ、
事故に遭い、その事件についての記憶を失った
ある死刑囚の冤罪を晴らすために調査を始める。
その死刑囚が思い出せる記憶は「階段」だけ。
2人は「階段」を手がかりに事件の真犯人を探すべく奔走する。
しかし、三上には南郷に話していない秘密があり、
事態は思わぬ展開を迎える。
死刑執行への手続きはちゃくちゃくと進む。
現行の死刑制度の矛盾や被害者家族の思い、
さまざまな思惑が絡み合うなか、
2人は冤罪を晴らすことができるのか。
そして、三上の秘密とはなんなのか。
『13階段』感想
ここからは感想を書いています。
ネタバレなしバージョンと、ネタバレありバーションがあるので、
まだ読んでいない方はご注意ください!
『13階段』感想(ネタバレなし)
「ケタ違いに面白い」という言葉に惹かれて読みましたが、
確かにケタ違いでした!
『ジェノサイド』とはまったく違う世界観で、
今度のキーワードは死刑制度や刑務官・受刑者・仮釈放者など。
ミステリーでありながら、
現行の死刑制度の矛盾について考えさせられたり、
刑務官の危うさ、受刑者・仮釈放者の目線や見られ方などについて描かれ、
考えさせられる部分もありました。
ミステリーとしては間違いなく面白いと言えます。
だんだんと謎が解決していくというよりは、
全編にわたって散らばっていた謎が、
ラストに向けて一気に解けていくさまは、
お見事という感じでした。
高野和明さんのその他の作品を紹介
⇩この下の感想、ネタバレありなので注意してください⇩
『13階段』感想(ネタバレあり)
『ジェノサイド』で
わりとグローバルで動いていく感じが好きだった私としては、
「ケタ違いに面白い」とは書いてあるものの、
舞台設定の狭さなどから
そこまで引き込まれないかな〜なんて予想して読み始めたのですが、
そんなことはなかったです(笑)
今回もさまざなまな場所(主人公の2人それぞれ、検事や法務省内部など)で話が進んでいくことから、分かりやすくも話は複雑でした。
一つひとつ謎が解決していったり、
大変な局面から脱出し次へ進んでいくようなタイプの話は
疾走感があって好きなのですが、
『13階段』はその反対。
初めからラストの解決まで
いろいろなことがずっと謎めいていたり重苦しかったりするところが面白いし、
つらいのにそれでも読ませてしまうところがすごいと思います。
増願寺の話が出てくるまでは、
「階段」っていったいなんなのか、
まったく予想できませんでしたし、
犯人についてもなかなかわからず最後まで楽しめました。
高野さんの作品は、
続けて読むにはあまりに重くてつらいけど、
抗えない魅力があります。
他の作品もぜひ読みたいと思いました!
最後までお読みいただきありがとうございました。