こんにちは、楓*(@kaede_twi)です♪
この記事では、2009、2010年※に新潮社より刊行された村上春樹さんの『1Q84 BOOK1』の作品の紹介や感想、考察を自由に綴っています。※2012年に文庫化
感想と考察はネタバレを気にせず思いつくままに書いていますので、未読の方はご注意ください。
文庫では全6冊、単行本では全3冊となる壮大で不思議で深い物語です。
発売当初に読んで以来の再読となりましたが、約10年経ったことで自分の中で物語の中で起こる出来事に対する感じ方が変化していたりして、興味深い読書となりました。
まだ読んだこともない人にも、読んだことはあるけれど時間が経っている人にももう一度読んでみてほしいオススメの作品です。
『1Q84 BOOK1』の作品紹介
あらすじ
1Q84年──私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。……ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。
村上春樹『1Q84 BOOK1〈4月-6月〉前編』|新潮社
ふかえりはきっと特別な存在なんだ、と天吾はあらためて思った。ほかの少女たちと比べることなんてできない。彼女は間違いなくおれにとって、何らかの意味を持っている。それなのにどうしてもそのメッセージを読み解くことができない。……『空気さなぎ』、宗教集団さきがけ、リトル・ピープル、そして夜空に浮かぶ月。謎に満ちた「1Q84年の世界」を生きる天吾と青豆の運命は──。
村上春樹『1Q84 BOOK1〈4月-6月〉後編』|新潮社
登場人物
青豆
もうすぐ30歳を迎える、スポーツ・クラブでインストラクターをしている女性。
ある事情からプロの暗殺者という一面も持つ。
天吾
代々木にある予備校で数学教師をしながら小説を書いている29歳の男性。
編集者に頼まれ、文学賞の審査を手伝っているときにふかえりの書いた『空気さなぎ』という小説に出会う。
ふかえり
17歳の美しい少女。小説『空気さなぎ』を著したとされる。
個人としての特性とその過去から風変わりなコミュニケーションの仕方をする。
『1Q84 BOOK1』の情報
刊行された2010年当時に作られた公式サイトなのでかなり古い作りなのですが、「1Q84 マップ」とか意外と面白いです。
上記サイトに又吉さん、杏さんの感想が掲載されています。
『1Q84 BOOK1』の感想と考察
考察
気になった点をおもいつくままにあげていきます。
青豆はどこにいるのか
物語の途中、青豆はいつのまにか自分が今までいた世界とは別の場所にいることに気が付きます。
狂いを生じているのは青豆なのか、世界なのか。
首都高速道路のタクシーの中で、ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』を聞きながら感じたねじれ、これが1984から1Q84へと導いた分岐点だったのではないかと青豆は推測。
1Q84年ーー私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。
Qはqestion mark のQ だ。疑問を背負ったもの。
タクシードライバーの発言も印象的でした。
見かけにだまされないように。現実というのは常にひとつきりです。
現実がひとつだけだとするならば、青豆のかつていた1984と今いる1Q84をどう捉えればいいのでしょうか。
宗教団体「さきがけ」と「あけぼの」
二年前「さきがけ」を母体の団体とする「あけぼの」と山梨県警とのあいだで銃撃戦があった。この事実が青豆にとっては知らない出来事であったため1Q84の出来事であることがわかります。
と同時に、この「さきがけ」こそがふかえりの描いた『空気さなぎ』の世界と密接な関係があることがわかってきます。
「さきがけ」と「あけぼの」が分裂したあと、ふかえりは両親を置いて「さきがけ」を脱出せざるを得ない状況に陥る。
この2つの団体の動きが気になったので、さかのぼって動きをまとめるとこんな感じでした。
1984年:現在(1Q84)
1981年:山梨県警と「あけぼの」の間で銃撃戦
1977年:ふかえりが「さきがけ」を脱出
1976年:「さきがけ」と「あけぼの」が分裂
1974年:「さきがけ」が生まれる
1976年から1977年の間に教団内でいったい何が起きていたのか。
この団体が起こした銃撃戦がなぜ1Q84にはあり、1984にはないのか。
リトル・ピープル、あるいはリトル・ピープルなるもの
ふかえりも教団から逃げ出し保護されたつばさちゃんも、リトル・ピープルは実在するとしていますが、二人以外にはリトル・ピープルが何者なのか、何を示すものなのかはわからない。
そんな中、眠っているつばさちゃんの口からリトル・ピープルが出てきて空気さなぎらしきものを作る場面がありました。
リトル・ピープルは比喩ではなく存在する。
存在するとしてリトル・ピープルは人々にどのような影響を与える存在なのでしょうか。
リトル・ピープルっていったいなんなのでしょうか。
2つの月が示すそれぞれの居場所
気がついたときには、月が2つある世界にいた青豆。
リトル・ピープルが空気さなぎを作り上げたとき、月が二つになるという『空気さなぎ』の世界。
『空気さなぎ』に影響を受け、月を2つにした天吾の描く小説の世界。
それぞれの世界は別々のものなのか、重なっているのか。
感想
約10年振りに読んだ『1Q84』。
初めて読んだときも強烈な面白さと興奮を味わった記憶があります。
池袋西武の地下にあるLIBROには大量の単行本が平積み&面陳。
別に発売日の当日買わなくても、自分にとってちょうどいいタイミングで買えればいいや、というタイプなのですが、発売日をあんなに心待ちにしたのは、この『1Q84』と『十二国記』くらいですかね。
そのくらい大好きだった記憶のある作品なのですが、再読は今回が初。
驚いたことに、その物語の細部というには広すぎる範囲を忘れていました。
主人公たちのこと、宗教団体のこと、月が2つある世界だったことなど、簡単な本の紹介程度のことなら覚えているのですが、複雑で深いストーリーの流れのほとんどが記憶の底に……(笑)
ということでかなり新鮮に楽しめました。
考察で書いた気になる点は本当に今謎だなと感じている部分です!
青豆と天吾、天吾とふかえり、「さきがけ」とリトル・ピープル。
それぞれにつながりがあることくらいしかわからず、謎めいた『小説さなぎ』による暗喩。
と思っていたら本当にいたリトル・ピープル。
彼らはいったいどこに向かい、彼らの世界が重なることはあるのか。
同じく内容を全然思い出せない(笑)BOOK2を引き続き楽しもうと思います!
最後までお読みいただきありがとうございました!