この記事では、
ダヴィド・ラーゲルクランツ『ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払女』の
あらすじや感想について書いています。
<ミレニアムシリーズ>は、
もともとはスウェーデンの作家スティーグ・ラーソンによって書き始められた
北欧ミステリーの火付け役ともいえる作品です。
2019年現在、ミレニアム 5まで刊行されていますが、
ラーソンは2004年に心筋梗塞で50歳の若さで亡くなっているため、
自身が手掛けたのはミレニアム 3まで。
以降はダヴィド・ラーゲルクランツによって描かれています。
ラーゲルクランツは記者として活躍した後に作家へ転身。
著名な登山家の伝記や、数学者アラン・チューリングをモデルにした小説が話題となり、
2011年には100時間に及ぶインタビューを元に描いた『I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝』を発表し、ベストセラーとなりました。
作者が変更したので「どうなのかな……?」とは思うものの、
<ミレニアムシリーズ>を読みたいという欲求に抗えず
とりあえず読んでみることにしました!
[box06 title=”あわせて読みたい”]『ミレニアム 3 眠れる女と狂卓の騎士』|三部作最終話。物語はクライマックスへ[/box06]
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『ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払女』のあらすじ
人工知能の世界的権威フランス・バルデルは、
ある大きな問題を抱えスウェーデンに戻ってきた。
別れた妻の元にいる自閉症の息子・アウグストを引き取り、
人生をやり直そうと考えていた。
しかし、彼は自分の命が狙われていることを知らされる。
危機を感じたバルデルは
その秘密をジャーナリストであるミカエル・ブルムクヴィストに打ち明けようと考える。
そのころミカエルは、
雑誌「ミレニアム」が経営上の危機に瀕し、
彼自身も他のメディアに叩かれ、良い記事も書けずにいた。
ミカエルのもとには様々なスクープになるというネタが持ち込まれるが、
その中にバルデルにまつわるものがあり、
どうやらリスベット・サランデルが関わっているようだった。
なぜあのリスベットがこの件に関与しているのか。
バルデルに一体何が起きているのか。
ミカエルはバルデルに会うために、彼のもとに向かった。
『ミレニアム 3 眠れる女と狂卓の騎士』感想
ここからは感想を書いています。
ネタバレなしバージョンと、ネタバレありバーションがあるので、
まだ読んでいない方はご注意ください!
また、私が感じたことを素直にそのまま書いているので、
その点も併せてご注意ください。
『ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払女』感想(ネタバレなし)
ダヴィド・ラーゲルクランツ/ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女#読了
4から作者の変わるミレニアム。
様子を見つつ読み始めたものの、すぐにやっぱりこれミレニアムじゃん!と思えるくらいにはミレニアムだったのでおもしろかったな✨
ラーゲルクランツはズラタンの自伝を手がけた方だそうな!⚽️🇸🇪 pic.twitter.com/vxeoNg2esV
— 楓 * (@kaede_twi) July 27, 2019
スティーグ・ラーソンからダヴィド・ラーゲルクランツに引き継がれた『ミレニアム』。
どんな感じなのか、
ワクワクドキドキしつつも
ちょっと心配な気持ちで読み始めましたが、
もともとあった『ミレニアム』の世界観をほぼ損なわずに、
むしろ過去作と今作のエピソードをつなげてくれるような部分もあって、
かなり納得できる作品になっていました。
ラーゲルクランツの手腕に驚かされましたね。
ストーリーは相変わらずの複雑さと登場人物の多さで、
スウェーデンとアメリカ
犯人側と警察側
リスベットとミカエルなどなど、
さまざまな場所で話が進行していくので
ぼーっと読んでいると誰が何をしているのか
わからなくなったりするくらいにはややこしい 笑(褒めています)
でもそのややこしさも、
集中して読んでいると臨場感のある場面転換として楽しさの一部となります!
私は続編の『ミレニアム 5 復讐の炎を吐く女』もぜひ読みたいと思っています!
スティーグ・ラーソンのその他の作品を紹介
⇩この下の感想、ネタバレありなので注意してください⇩
『ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払女』感想(ネタバレあり)
いやー、今回も面白かったですね!
リスベットとアウグストのペアがとてもよかったです。
子どもへの接し方がめちゃくちゃなリスベットですが、
だんだんとアウグストの才能を開花させていきましたね。
リスベットがアウグストを一人の人間として
対等に接し、評価している感じがよかったです。
今回はリスベットの妹が出てきましたが、
もろザラチェンコ系というか、
とにかく恐ろしい人物でしたね。
しかもさらに憎しみが増していそうなので、
次回作ヤバそうですね!
嬉しいんですけどね!笑
個人的にNSA(国家安全保障局)とか出てくると秘密と陰謀の香りがして
ワクワクしてしまうんですよね 笑
しかもリスベットがそこをハッキングしたというのが、
まさに痛快って感じでしたね!
実は細かいことをいうと、
書き方がラーソンってこうやって書いたっけ?みたいなのはありました。
例えば「のちに……と思った」というような
振り返る書き方が数箇所あったと思うのですが、
手元に過去作がないので私の記憶になりますが
こういう書き方していたっけ?と思ったり。
(突然過去への振り返りとして出てくるのでちょっと気になった)
あと、2名いる翻訳者のうち1名は同じ方だったのですが、
ちょっと翻訳しづらそうにしているというか
これは校正の問題かもしれませんが 笑、
助詞がちょっと変だなと感じるところがあったり。
ただ、こんなのは些末な問題で、
ストーリーに大きな影響はありませんし、
やっぱりこれは予め作者が変わったことを知っていたからだと思います。
むしろ<ミレニアムシリーズ>を終わらせず、
新たな『ミレニアム』を描いてくれたラーゲルクランツの勇気と才能に感謝です!
最後までお読みいただきありがとうございました。