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十二国記『黄昏の岸 暁の天』小野不由美|自由に綴る感想&レビュー

黄昏の岸 暁の天 ブックレビュー

十二国記シリーズ『黄昏の岸 暁の天』の感想を書きました。

このエピソードは、
18年ぶりに発売された新刊の『白銀の墟 玄の月』に直接つながるお話です。

時系列としては『魔性の子』と並行していますが、
あちらが蓬莱を舞台としたホラーでスピンオフのような物語なのにくらべ、
こちらは十二国を舞台としたファンタジーで十二国記シリーズの本流です。

ちなみに短編集『華胥の夢』の「冬栄」では、
新刊にも関係する、重要となっているある時期の裏表となる物語なので、
こちらも併せて読むと面白さが増すと思います!

『黄昏の岸 暁の天』のあらすじ

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公式サイトでの紹介の確認から♪

王と麒麟が還らぬ国。その命運は!? 驍宗(ぎょうそう)が玉座に就いて半年、戴国(たいこく)は疾風(はやて)の勢いで再興に向かう。しかし反乱鎮圧に赴(おもむ)いた王は戻らず、届いた凶報に衝撃を受けた泰麒(たいき)も忽然(こつぜん)と姿を消した。王と麒麟を失い、荒廃へと向かう国を案じる将軍は、命を賭(と)して慶国(けいこく)を訪れ、援助を求める。戴国を救いたい──景王陽子の願いに諸国の麒麟たちが集う。はたして泰麒の行方は。

新潮社公式サイト

王と麒麟が消え、
国が大きく傾き、
もはや自分たちの力だけではどうにもならない……。

追い詰められた戴の将軍・李斎は、
命を賭してある期待を胸に慶へと向かう

李斎の気持ちを汲んだ景王・陽子だったが、
そこには越えることのできない十二国の摂理、天の摂理があった。

摂理に翻弄されながらも、
戴と泰麒を救うべく、
陽子をはじめ各国の王や麒麟が動き出した。

『黄昏の岸 暁の天』の感想&レビュー

ここからネタバレを気にせず綴っているのでご注意ください!

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十二国記のシリーズのなかでも、
さまざまなエピソードとつながり各国の王や麒麟が登場するため、
『黄昏の岸 暁の天』はシリーズ全体をつなぐ中盤のまとめのような印象があります。

独特の摂理に基づいて動いていく十二国の世界の中で、
摂理の狭間に落ちてしまったかのように正されるためのシステムが動かない戴という国を、
景女王・陽子が中心となって天の意向を伺いながら戴と泰麒のために動き出す

しかしそこで、
陽子はこの十二国という世界に対して違和感と不可解さを覚え、
天が人のように間違えるということに気付き、
戴の将軍・李斎は天があるのになぜ戴を救ってくれないのか
という根本的な疑問に思い当たり大きな憤りを感じるようになる。

「もし天があるなら、それは無謬ではない。実在しない天は過ちを犯さないが、もしも実在するなら、必ず過ちを犯すだろう」
(中略)
「人は自らを救うしかない、ということなんだーー李斎」

小野不由美『黄昏の岸 暁の天』新潮社、2002、p.390

天帝の統べる世界で、天の摂理に則り動く。

十二国記の世界がどういうものなのか、
陽子は自分の見方を改めることになり、
李斎は戴国の惨状を思い、天とな何なのかという疑問をもつ。

これまでの物語は天の存在は大前提として、
その上でそれぞれの国の王や麒麟が奮闘する、というのが当たり前だったのに対し、
今回は十二国における摂理のギリギリのところで問題が発生し、
解決方法もまた微妙なところだったので、
天という存在が大きく絡んできて面白かったです。

また、胎果である陽子から見ると各国が協力しないことの方が驚きで、
初めて各国の王や麒麟が集って他国のために動き出すという、
十二国の世界のなかでも新しい時代がきているような印象を受けました。

泰麒じゃないですけど、やっぱり陽子はすごいですね!
『月の影 影の海』風の万里 黎明の空』に続きカッコよさに磨きがかかっていました。

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そんな陽子も、
もちろん完璧な人物ではなく、
一部の官吏から誤解され謀反が起きる。

が、その際の潔癖なまでの潔さがすごかったですね。
淡々と弑されそうになる様は、
周りの者たちはたまったもんじゃないですよね(笑)

官吏に泰麒と李斎には手出ししないように言ったうえでの、

ーーできれば、自分たちのせいだと、あまり深く気に病まないでもらえるといいのだが。

小野不由美『黄昏の岸 暁の天』新潮社、2002、p.436

主上、はやい!
諦めるのがはやすぎる!
叫ぶ、逃げる、殴るetc.
せめて時間を稼ごうよ!

相変わらず、
自分が王であっていいのかという疑問が常に頭の片隅にあるから、
すぐにこういう決断をするんですよね!
困ったものです(笑)

このあたりについては、
浩瀚が陽子に理詰めでいかに官吏側が悪いかを説明しているのですが…、
このくらいはっきりわかりやすく常に伝えてあげないと、
当分この女王は(ある意味)危ないよ!と思ったり(笑)

また、陽子から李斎への言葉で、
『人は自らを救うしかない』という発言がありましたが、
あとに出てくる浩瀚の発言に心強いものがありました。

「(前略)自身の行為が自身の処遇を決める。それに値するだけの言動を為すことができれば、私のような者でも助けて差し上げたいと思うし、場合によっては天すらも動く。周囲が報いてくれるかどうかは、本人次第です。(後略)」

小野不由美『黄昏の岸 暁の天』新潮社、2002、p.449

うんうん、李斎も陽子もその言動で天や他国を動かしたものね…!

陽子の当事者ゆえの覚悟をもった発言と、
助ける側から見た物の見え方が印象的でした。

最終的に何とか泰麒も戻ってきて、
むしろここからが、
戴にとっては喪失しつつある国を取り戻す新しい戦いの始まり
となります。

その物語が2019年秋に発売された新刊です。
こちらも読了次第感想を書きたいなと思っています♪

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最後までお読みいただきありがとうございました!