読書

長江俊和『出版禁止』|隠れた事実にゾクゾクさせられるホラーミステリー

こんにちは、Nagoya / Nagoyaka log の楓(@kaede_twi)です。

この記事では、
長江俊和さんの『出版禁止』についての
あらすじや感想について書いています。

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長江さんは、
小説家としてだけでなく
連続ドラマでは『富豪刑事』(2005年、深田恭子主演)や
『歌のおにいさん』(2009年、大野智主演)、
単発ドラマでは『学校の怪談』『世にも奇妙な物語』も演出されたことがある
映像作家としても活躍されている方で、
代表作は劇場版にもなった『放送禁止』シリーズです。

そんな長江さんが記す、
不穏な表紙とそのタイトルが印象的『出版禁止』
読んでみることにしました。

出版禁止』のあらすじ

ある日、著者・長江俊和は
いわくつきの掲載禁止となったルポルタージュを手にする。

そのルポルタージュは、
あるライターが数年前の心中事件について取材したもので、
心中の生き残りの女性と接触することのできた貴重なルポだった。

あらかた、最後まで書いてあるようなルポ。
一見そのルポは悲劇的な心中劇が描かれているかのようだったが…。

そのルポルタージュが掲載禁止となった本当の理由とは。

『出版禁止』感想

ここからは感想を書いています。

ネタバレなしバージョンと、ネタバレありバーションがあるので、
まだ読んでいない方はご注意ください!

また、私が感じたことを素直にそのまま書いているので、
その点も併せてご注意ください。

『出版禁止』感想(ネタバレなし)

読みやすい文章のホラーミステリーで、
たまになんとなく違和感を察知しつつも、
スイスイ読み進めていたら最後に驚きの"事実"があり、
びっくりしてしまいました…!

だんだんと変化していく
登場人物たちの心理描写を楽しんでいたら、
いつのまにかとんでもない勘違いをさせられていました。

ホラーな種明かしにゾクゾクさせらせる一冊です。

長江俊和さんのその他の作品を紹介

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⇩この下の感想、ネタバレありなので注意してください⇩

 

『出版禁止』感想(ネタバレあり)

すっかり著者にしてやられました!

隠された事実に気がつかず、
すいすい読み進めた結果、
最後にあんな恐ろしい事実が待っているとは思いませんでした(笑)

長江さんが叙述トリックをする方だとは知らなくて、
登場人物の裏事情が明かされる、みたいな謎解きだと思っていたのですよね。

それでも読んでいくうちに、
「あれ?」とか「これはやばそうだ…」と思う部分はあって、
私が引っかかったのは以下の4点。

1、名前

また、私の筆名は「若林呉成」、彼女の仮名も「新藤七緒」とし、すでに送ってある原稿を、そのように修正して欲しいと依頼する。(p.243)

ちょっと不自然に感じました。
それが引っかかったけど、アナグラムとは思いませんでした。

・二十一日の食事の様子

私は、あわてて布巾で、畳の上にこぼれた粥を拭き取る。(p.242)

こぼし方が不自然では…?
どういう食べ方をしてるの…?という気持ちに。

・二十二日の買い物の内容

生活必需品のコーナーに行き、ゴミ袋とキッチン用のスポンジ、消臭芳香剤などを購入する。(p.243)

消臭芳香剤ってなんでわざわざ書いたの?!という、
この辺りでちょっと不安な気持ちになっていました。

・二十六日の掃除の様子

掃除機をかけ、台所や廊下の床を雑巾で拭く。溜まった生ゴミをポリバケツに入れる。室内の空気が、多少籠もってきている。この前、スーパーで買った消臭芳香剤をスプレーする。(p.254)

生ゴミってそんなに出ないよ!こわいよ!
窓を開ければ換気なんて終わるし、
消臭芳香剤をスプレーするまでしなくても
大丈夫そうな家だったじゃん!という心の声が。

最後までわからなかったのは、
ルポライターの心理状況ですね。

簡単に彼の刺客としての行動をまとめてみると、

初めの時点では気づいていない。

途中で自分自身が刺客であると気づく。

愛していながら殺してしまう。
(という体だけど刺客として実行する。)

アナグラムを使った名前にする。

七緒に恐ろしい処置を施し、計画した心中へ向けて動く。

山小屋で心中を実行する。

拘留中に自殺。『生還することなど、もはや不可能』

なのですが、

・カニバリズムに走った理由

・おそらく依頼主の希望を汲んだとはいえ、心中という形に最後までこだわった理由

・ルポを完成させた理由

・ルポに仕掛けを作った理由

残念ながらそれらは、私には読み取れませんでした。

自分の中では、

・彼は取材をし、事実をルポに書くという平静さを持ちながらも、
ある部分は狂っていて心中することに取り憑かれていた。

・ルポを発表することが依頼者の希望だった。

ということにしておこうかなって感じです。

また、
愛しているから心中するけど、刺客として生還するという矛盾が
彼のなかでどう折り合いがついているのかも謎でした。

矛盾があったからこそ、
見せかけの心中を続けたり、ルポを続けたりしたのでしょうか。

ちなみに読了後にググってから知ったのは、以下の3点。

・視覚の死角(刺客の刺客?刺客の資格?)

・アナグラムを使った名前
若橋呉成(わかはしくれなり)→われはしかくなり→我は刺客なり
新藤七緒(しんどうななお)→どうなしおんな→胴無し女

・ルポライターの名前の伏字
⬜︎⬜︎→シカクシカク→刺客刺客

おもしろいですよね!

文頭の文字だけ読むと事実が書いてあったり、
事実を書いていたのに、ただの料理シーンかのように見せていたり、
叙述トリックを活かしたおもしろい謎解きですね。

長江さんは『世にも奇妙な物語』の演出をされたことがあるとのことで、
あのシリーズの物語のように、
全部がすっきりとはわからない不穏さも狙いなのかもしれませんね!

読了後も読者を悩ませ、
あれやこれやと謎解きをしたり、隠れた仕掛けを探したり、調べたり。

エンタメ感満載の面白いお話でした!!

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マメナチカ
マメナチカ
してやられたネ!
楓
校正者ならもう少し深読みしなよwって自分でも思うくらい気づかなかったし、まだ謎がありそうだよ笑

最後までお読みいただきありがとうございました。