この記事では、
ピーター・スワンソンさんの『そしてミランダを殺す』のあらすじや感想について書いています。
ピーター・スワンソンさんは、
1968年生まれのアメリカの作家です。
2014年に『時計仕掛けの恋人』でデビューし、
2番目の長編作となる本作で英国推理作家協会賞の最終候補となりました。
本作は
『このミステリーがすごい 2019年版』海外編第2位、
「ミステリが読みたい! 2019年版」海外編第2位、
「週刊文春ミステリーベスト10 2018」第2位と、
各種ランキングで上位に入る評価の高い作品です。
その評価の高さと、
物騒なタイトル、お洒落な表紙に惹かれ
私も読んでみることにしました!
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『そしてミランダを殺す』のあらすじ
テッドが空港のバーで飲んでいると、
見知らぬ美しい女性リリーに声をかけられる。
テッドは1週間前に妻ミランダの浮気を知り、
そのことをリリーに話し「妻を殺したい」と言ってしまう。
するとリリーは「そうすべきだ」と答え、手を貸すという。
テッドはなぜリリーがそのようなことを言うのか
不審に思いながらも殺人計画を進める。
そして、リリーがなぜ殺人に手を貸すのかが、
リリーの過去とともに徐々に明らかになる。
しかし事態は思わぬ展開を迎え、
追う者と追われる者の攻防が、
それぞれのモノローグで順番に語られていく。
リリーはいったい何者なのか。
『そしてミランダを殺す』感想
ここからは感想を書いています。
ネタバレなしバージョンと、ネタバレありバーションがあるので、
まだ読んでいない方はご注意ください!
また、私が感じたことを素直にそのまま書いているので、
その点も併せてご注意ください。
『そしてミランダを殺す』感想(ネタバレなし)
はじめは、冒頭のストーリーである
“テッドとリリーの殺人計画がどのように遂行されていくのか”
ということに注目して読んでいたのですが、
物語が進むに連れて
それだけでは終わらない複雑なストーリーとなり、
物語の終着点を予想させない面白いお話でした。
リリーもミランダも、
ソシオパスではないかと思わせる一面があり、
判断の仕方、行動の仕方が予想できません。
そこが恐ろしくもあり、
次は一体何をする気なのだと
いつのまにか物語に引き込まれ、
先を読み進まずにはいられない気持ちに!
サスペンスが好きな方、
野生動物のような恐ろしい魅力のある人物が見てみたい人におすすめです。
ピーター・スワンソンさんのその他の作品を紹介
デビュー作
東京創元社より2019年に『彼女が恐れるものすべて(仮)』として刊行予定。
⇩この下の感想、ネタバレありなので注意してください⇩
『そしてミランダを殺す』感想(ネタバレあり)
かなり好きなタイプのサスペンスでした!
こんなに怖いのに描画が綺麗なんですよね。
映画を見ている感じといいますか。
語られる場面が詳しく想像しやすいだけでなく、
綺麗ですよね。
もしかしたら翻訳者の務台夏子さんの言葉選びが好みだったとか、
そういう影響もあるかもしれません。
登場人物は、女性二人の野生的な恐ろしさと美しさが際立っていました。
リリーの幼少期からの語りは、
彼女の個性がもともとそういった傾向にあることを知らしめ、
危険で恐ろしく強い個体だということを感じさせました。
ただ、恐ろしく危ないのに彼女に惹かれてしまうのはなんなんでしょうね?
彼女に関わってしまったがゆえに、
恐ろしい事態にまきこまれていく人たち。
最後の最後で、
あの小さな草地の秘密が暴かれるかもしれない
というところで終わりましたが、
暴かれたとしても、
彼女が塀の中で大人しく過ごして終わるということは
ないだろうと思わせる強さがあります。
ストーリー展開としては、
第一部、第二部、第三部とそれぞれに
別のサスペンスにできそうな濃厚なお話だと思いました。
また、私がもう少しアメリカ東海岸について知っていたら、
もっと面白いんだろうな〜と思いました。
そこはちょっと惜しい(自分が)気分です!
最後までお読みいただきありがとうございました。