『ミレニアム 1 ドラゴン・タトゥーの女』|自由に綴る感想&レビュー

3 min
スティーグ・ラーソン『ミレニアム 1 ドラゴン・タトゥーの女』

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この記事では、
スティーグ・ラーソン『ミレニアム 1 ドラゴン・タトゥーの女』
あらすじや感想について書いています。

<ミレニアムシリーズ>は、
スウェーデンの作家スティーグ・ラーソンによって書き始められた
北欧ミステリーの火付け役ともいえる作品です。

2019年現在、ミレニアム 5まで刊行されていますが、
スティーグ・ラーソンは2004年に心筋梗塞で50歳の若さで亡くなっているため、
自身が手掛けたのはミレニアム3まで。
以降はダヴィド・ラーゲルクランツによって描かれています。

まだこのシリーズを読んだことがなかった私は、
「作者が変わっても出版され続けるなんて、
相当な面白さなのでは?」
などと期待しつつ読んでみることにしました。

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ミレニアム 1 ドラゴン・タトゥーの女』のあらすじ

ジャーナリストで、雑誌『ミレニアム』の発行責任者でもあるミカエルは、
大物実業家・ヴェンネルストレムの悪事を発表するが、
名誉毀損で有罪となる。

編集部を一時離れることにしたミカエルのもとに、
ある依頼が舞い込んでくる。

それは、ヴァンゲル・グループの前会長からの依頼で
表向きはヴァンゲル家の歴史を書くということ、
本当の依頼は、36年前にこつ然と消え、
一族の誰かによって殺された可能性のある姪のハリエットを探してほしいというものだった。

ミカエルはこの奇妙な依頼に当初は乗り気ではなかったが、
ヴァンゲル・グループがヴェンネルストレムの情報を握っていると知らされ、
この謎に取り組むこととなった。

ミレニアム 1 ドラゴン・タトゥーの女』感想

ここからは感想を書いています。

ネタバレなしバージョンと、ネタバレありバーションがあるので、
まだ読んでいない方はご注意ください!

また、私が感じたことを素直にそのまま書いているので、
その点も併せてご注意ください。

ミレニアム 1 ドラゴン・タトゥーの女』感想(ネタバレなし)

率直な感想は、
長い!登場人物が多い!でも相当面白い!!ということ。

ミカエルのパートと、
やがてミカエルと出会うこととなる
調査員のリスベットのパートが交互に描かれて物語が進んでいくのですが、
この二人が出会ったあたりから一気にお話が面白くなります。

二人の絡みも、謎解きも、目が離せない展開をみせるので、
この二人が出会うところまで是非がんばって読んでみてほしいです。

『ミレニアム 1』はミステリーとしてだけでなく、
女性差別・蔑視・暴力やナチズムなども多く描かれており、
ミステリー+社会的な問題を盛り込んだ物語となっています。

スティーグ・ラーソンのその他の作品を紹介

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⇩この下の感想、ネタバレありなので注意してください⇩

 

 

ミレニアム 1 ドラゴン・タトゥーの女』感想(ネタバレあり)

最初は、ヘーデビー島とヴァンゲル家の特殊性に興味をそそられながらも、
なかなかハリエットの謎解きが進まないのに
どんどん登場人物が増えるのでどうしようかと思ったのですが(笑)、
登場人物がでそろい、ミカエルとリスベットが出会ってからは一気に面白くなりました!

特にリスベットというキャラクターの面白さ。

彼女自身が性的被害を受けるというきついエピソードもありましたが、
きっちり彼女のやり方でやり返してましたね。
その場面だけは辛いんですけど、
そこ以外はリスベットのキャラクターはなかなか痛快でした。

趣味としてもハッキングするし、
基本的に警察には通報しないし、
やり返しかたもエグいし、
イカれたメッセージのTシャツを着てるし。

そんなリスベットがミカエルの前ではちょっと様子が違う。

ミカエルの真のリベラルさが彼女に居場所を与えたような。
この二人の対等な関係性が好きです。

ミステリーとしてももちろん面白く、
まさかここまでヴァンゲル一族が最悪だとは思いませんでしたよ!(笑)
あの恐ろしい父子に関しては、
読んでいる最中は鳥肌ものでした。

それにしてもハリエットが生きているのか、死んでいるのか、
種明かしまで私はさっぱりわかりませんでした。
マルティンにもすっかり騙されたし。
しかし蓋を開けてみれば納得のストーリー。

だいたいが最悪のヴァンゲル一族でしたが、
奇跡的にアニタという良い人がいたのですね。

最終的にヴェンネルストレムがどんな人物だったのか
本人自身が語るような場面はないままに死んでしまって、
この人どんな人だったのかな〜などと思いつつ、
ちょっと切ないリスベットの描写で物語は終わりました。

ところでこの物語、
女性差別・蔑視・暴力とナチズムに対するメッセージが多く盛り込まれていましたね。
各章の扉ページ裏側に、
スウェーデンでの女性の性的被害に対しての言及があるのですが、
こうやって物語の中で詳細に描写することで
その実態を知らしめることに大きな意味があると感じました。
しかもベストセラーですから、関心がある人もない人も目にすることになります!

ちなみに原題の Män som hatar kvinnor は「女を嫌う男たち」とか「女を憎む男たち」なので、
日本語のサブタイトルとイメージがちょっと違いますね。
<ドラゴン・タトゥーの女>というのは英語版からとったもののようなので、
英語版の時点で原題のままでは出さないという判断があったのですね。

個人的には、サブタイトルの変更によって
作者がこのミステリーを通して訴えたかったことがちょっと薄れる印象を受けました。
どうなのかなとも思うけど、
このままのタイトルだと日本では新書みたいな感じだし仕方がないのかな。
英語版への翻訳時点で作者が納得していたのかが気になるところ……。

引き続き2も読みたいと思います!

最後までお読みいただきありがとうございました。

楓*

楓*

主婦 兼 校正者

東海地方に住む主婦で校正者の楓*です。
記録しておきたい日々の出来事や思い出、整理しておきたことなどをブログに綴っています。
旅・山・自然が大好きで、趣味は読書と映画・ドラマ鑑賞です。

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