読書

『ある男』平野啓一郎|自由に綴る感想&レビュー

平野啓一郎『ある男』

この記事では、
平野啓一郎『ある男』
あらすじや感想について書いています。

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この物語の著者・平野啓一郎さんは
京都大学在学中に『新潮』に『日蝕』を投稿し、
この作品が1999年に芥川賞を受賞しました。

華々しいデビューを飾り、
その後もさまざまな賞を受賞しており、
2019年秋には『マチネの終わりに』の劇場公開が決定しました。

本作品について言えば、
2019年の本屋大賞にノミネート
されたことでも注目されています。

本屋さんで平積みされていて、
何とはなしに手に取った本の帯の言葉に惹きつけられ、
『ある男』を読んでみることにしました。

ある男』のあらすじ

弁護士の城戸章良は、過去に弁護を担当した依頼人の里枝から、
ある相談を受ける。

それは、とても奇妙な「ある男」についての相談だったー。

里枝は訳あって故郷の宮崎で2人の子どもと母とともに暮らしている。
彼女には谷口大祐という夫がいた。

しかしある日、大祐は仕事中に事故で命を落とす。

実家と縁を切っていた大祐は
何かあったときにも家族とは連絡を取らないように里枝に伝えていたが、
大祐の死後、
一周忌を過ぎたころに里枝は大祐の実家に手紙で知らせることにする。

すると、そこで衝撃的な事実が明らかになる。

愛していたはずの夫はまったくの別人だった。

『ある男』感想

ここからは感想を書いています。

ネタバレなしバージョンと、ネタバレありバーションがあるので、
まだ読んでいない方はご注意ください!

また、私が感じたことを素直にそのまま書いているので、
その点も併せてご注意ください。

『ある男』感想(ネタバレなし)

自分の愛した男はいったい誰だったのか。

そんな、およそ考えたこともないような事実が明らかになるところから物語は始まり、
その謎を追ってストーリーが展開されていくのですが、
まずこの謎が面白いですよね。

面白いと言ってしまうには、
背筋がヒヤリとするような、
一緒に過ごしていた過去が覆されるような怖さがありますが……。

加えてこの謎を追う主人公の背負っているものが、
人の生まれって何なんだろうと
「ある男」とはまた違った、
社会問題をも含んだ視点で読者に語りかけます。

謎めいたストーリーと、
愛にとって過去とは何か?という哲学的な問い。
そして、現代の日本が抱く社会問題までもが折り重なり、
考えさせられる、魅力ある物語だと感じました。

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⇩この下の感想、ネタバレありなので注意してください⇩

 

『ある男』感想(ネタバレあり)

本当に面白い作品で、
私が読んだ平野さんの作品は『マチネの終わりに』に続き本作が2作目と、
まだまだ出会って浅いのですが確実にファンの1人になりました。

『マチネ〜』もそうだったのですが、
今回も著者が出会ったある人について描いているというスタイルでしたね。
リアリティを感じさせ、自然と物語に引き込まれる感じがして私は好きです。

夫が別人だったという大きな謎が中心となり物語が進んでいきますが、
単純にその謎が明らかになるだけではなくて、
そこに城戸の出自や職業からくる問題提起など、
社会問題が自然と絡んでくるところに平野さんの筆の個性を感じます。

そしてその個性が私は好きです。

人が生きていると、現実は複雑で、難解で、決して単純ではありません。
そこを丁寧に描いていくことで物語が深いものになっていると感じるし、
取り扱っている問題自体が、
本来一人ひとりが考えるべきことであったりして、
気づかされるものの多い作品でした。

愛にとって過去とは何か?

という問いも、心に響く、頭に残る問いだと感じました。

そんな中でラストの、
里枝の息子の悠人にとっての救いが
文学であったことに一筋の光を感じました。

それは両親たちは持っていなかった個性であり、
彼自身が獲得したものだったから。

一つの作品の中で、様々なことを語りかけてくる平野さんの作品。
文章自体も美しく心地よさを感じるので、
引き続き他の作品も読んでいきたいと思っています。

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最後までお読みいただきありがとうございました。