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『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ|自由に綴る感想&レビュー

カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』

この記事では、
カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』
あらすじや感想について書いています。

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この作品の著者であるカズオ・イシグロは、
1954年に長崎で生まれ、1960年に家族とともに長崎からイギリスへわたりました。

1989年に発表した『日の名残り』で英国の文学賞であるブッカー賞を受賞し、
2005年に『わたしを離さないで』を発表しました。
ちなみに、『わたしを離さないで』はブッカー賞最終候補作に選ばれています。

そして記憶に新しい2017年、ノーベル文学賞を受賞しました。

『わたしを離さないで』は、映画化・舞台化されるなど
広く親しまれている作品なのですが、
まだ読んだことがなかったため読んでみることにしました!

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『わたしを離さないで』のあらすじ

ある目的のために外界と隔てられ、
ヘールシャムという施設で育てられたキャシー・H。

そこには保護官と呼ばれる大人たちがいて
ある目的のために子どもたちを守り、教育していた。

今は介護人として働くキャシー・Hが、
その半生を振り返りながら
ヘールシャムでの奇妙な思い出と
彼女や友人たちの間に起きたことを振り返り、
やがて、彼女たちに課せられた残酷な使命が明らかになる。

介護人とは?
ヘールシャムとは?
彼女たちに課せられた使命とは?

『わたしを離さないで』感想

ここからは感想を書いています。

ネタバレなしバージョンと、ネタバレありバーションがあるので、
まだ読んでいない方はご注意ください!

また、私が感じたことを素直にそのまま書いているので、
その点も併せてご注意ください。

『わたしを離さないで』感想(ネタバレなし)

SF的な要素がベースとしてあるにもかかわらず、
人の思考をそのままトレースしたかのような語り口と、
最後のシーンまで計算されたかのような構成で
フィクションの世界らしさをまったく感じさせない作品でした。

キャシー・Hによる回想は、
微に入り細に入り、
その繊細さゆえに実在の人物の思考のように思えてくるくらい、
現実感のある語りでした。

序盤から謎についてここかしこで触れていくのですが、
核心部分については謎のままに、
だんだんと焦燥感がつのる様子や切実な感じが伝わってきます。

やがて真実が明らかになるのですが、
そこでずっとわかっていたことを
眼前に突きつけられる感じが静かにつらい。

つらいのだけど、
それを上回る
魅力的な登場人物と素晴らしいストーリー構成のため、
とても印象に残る、深く面白いお話だと思いました。

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⇩この下の感想、ネタバレありなので注意してください⇩

 

『わたしを離さないで』感想(ネタバレあり)

すごい小説でした!!

キャシー・Hの記憶の中で展開されていることを、
そのまま文字に起こしたかのような
思考のトレースぶり

ストーリーの流れとは関係のないような
細かな描写が多いのですが、
その無駄と思える描写こそが、
人それぞれがもつ自分だけの思い出のように思え、
キャシー・Hという人物の存在感を
いっそう確かなものにしているように思えました。

キャシー・Hによる回想が、
臓器移植のために生み出された存在があることを前提で話しているため、
真実を知らされていない読者は
異変を感じ続け、だんだんと確信し、
恐怖を感じるという。
その奇妙な感覚が面白かったです。

最後の終わり方も心にくるものがありました。
定められた運命に抗えず散っていこうとしている様が、
切なく美しかったです。

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最後までお読みいただきありがとうございました。