読書

瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』|つながっていくたくさんの愛情にまつわる物語

こんにちは、Nagoya / Nagoyaka log の楓(@kaede_twi)です。

この記事では、
瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』
あらすじや感想について書いています。

『そして、バトンは渡された』は、
2019年に全国の書店員の方が“いちばん!売りたい本”を選ぶ本屋大賞で
2位以下と圧倒的な得点数の差をつけて1位を獲得した作品です。

作者の瀬尾まいこさんは、
2011年に退職されるまで中学校の国語教諭をされていた方で、
身近なようでいて独特な、心温まるお話を書かれる方だと思います。

そんな瀬尾さんが書かれた、
複雑な家庭環境のなかで育った女の子が主人公のお話。

こんな設定の女の子をつらく、悲しく描くのではなく
感動を呼び起こすような優しく温かい物語となっていると聞いて
興味がわいてきました。

『そして、バトンは渡された』のあらすじ

主人公の高校生・優子には、父親が3人、母親が2人いる。

親の都合で、家族の形や暮らしの形が変わり、
今は森宮さんというエリートサラリーマンで口が悪く子どもっぽい、
だけどいつも優子のことを考えてくれる親と暮らしている。

彼女はその生い立ちから、
ハードでドラマチックな不幸を周囲から期待されているように感じているが、
本当の彼女はその時々でその家族に愛され、愛し、
たくさんの親たちに大切に育てられてきた女の子だった。

彼女の家族が
なぜこのような家族の形となったのか、
それぞれの家族とどのように暮らしてきたのかを、
森宮さんと暮らす温かい日常のなかで、
少しづつ語られていく。

『そして、バトンは渡された』感想

ここからは感想を書いています。

ネタバレなしバージョンと、ネタバレありバーションがあるので、
まだ読んでいない方はご注意ください!

また、私が感じたことを素直にそのまま書いているので、
その点も併せてご注意ください。

『そして、バトンは渡された』感想(ネタバレなし)

瀬尾さんらしい、温かいお話だと思いました。

主人公・優子が
様々な形の家族から、様々な方法で愛されてきたということがわかるお話。

家族の形に正解はなく、
それぞれに優子の親となった人が優子を思って行動していった末に、
今の優子があり、
そしてそれは森宮さんに継がれ、
そしてそれはさらに継がれていく……。

わりと軽めの、
ファンタジーではないけれど、
それくらいの浮遊感のあるお話だと感じました。

リラックスしたいときや、寝る前など
ちょっとほっこりしたいときに読みたくなる本でした。

瀬尾さいこさんのその他の作品を紹介

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私が初めて読んだ瀬尾さんの作品

 

 

⇩この下の感想、ネタバレありなので注意してください⇩

 

 

『そして、バトンは渡された』感想(ネタバレあり)

さて、今回の感想(ネタバレあり)についてなのですが、
少々辛口だと感じる方がいらっしゃるかもしれません。

ここまで書いてきた感想やSNSでの感想は、
この作品から感じたポジティブなものだけを綴りました。

SNSでは意図せず感想を読んでしまうことが当然起こるわけですが、
この本を読んだ直後の感動した気持ち(私もラストは涙が出ました)に水をさしたくないのです。

これは、
SNSで批判的な感想を読みたくないとか書くなということではなくて、
この本で幸せになった人の気持ちをしぼませるようなことは
引き起こしたくないという個人的な感情の問題です。

でも、
自分がその本を読んでどう感じたか、
それがポジティブなものでもネガティブなものでも、
自分の心境自体は正直に記録したいし、
自由に発信したい。

幸い私には、自分で管理しているブログがあるので、
そこでなら作品に対する思いを
自分の作った制約を気にすることなく書いてもいいのではないかと思っています。

と、ここまで書くとすごい批判をしそうですが、
どんな方針でSNSとブログを使い分けるかをちょっと考えてみたので記録してみました。

さて、今回の『そして、バトンは渡された』なのですが、
全体としては温かいお話、ラストの結婚式のシーンは心に響くものがありました!

なのですが、
度々感じたちょっとした違和感が最後まで拭えなかったというか。
途中、私にしては珍しく速読気味になってしまいました。

途中で生じてしまった違和感というのは、
たとえば梨花さんの行動。

子どもを親に会わせない。
子どもに頼まれた手紙を送らない。
子どもに届いた手紙を渡さない。
これらの行動からどうしても梨花さんという人への不信感、
梨花さんの優子への愛情に共感するのが難しかった。

誰かの誰かへの愛情なんて100%他人には理解できないという思いもあるのですが、
梨花さんに疑問を持つと、
優子が愛情深く育てられたという前提が崩れるようにも感じて。

次にブラジルに行った父親について。
手紙で連絡を取る以外の手段を取らなかったことへの違和感。
手紙が戻ってきていないのなら、
日本に帰ってきたのなら、
いくらでも連絡手段はありますよね。

そのあたりが後から手紙がごっそり出てきたという形で種明かしされると、
むしろその父親の行動に疑問を持ってしまうというか。

そのあたりは、
ファンタジーにもっと振り切って、
優しいけれどぶっとんだ梨花さんとお父さんとして、
現実的な解決法や問題点が頭に浮かばないような展開だったら……
と思ってしまいました。

文芸作品を現実と照らし合わせるな、
という意見もありそうですが(笑)
照らし合わせる派としてはちょっと違和感がありました。

マメナチカ
マメナチカ
映像化に向いてそうだネ!
楓
かもね〜!世界観も構造もわりとシンプルなので原作の良さを損なわずに映像化できそうだね!

最後までお読みいただきありがとうございました。