アート

みんなのレオ・レオーニ展|感想とレオ・レオーニのこと

みんなのレオ・レオーニ展

レオ・レオーニ、あるいはレオ・レオニという人をご存じですか?

日本の教科書でも採用され、
世界中で愛されるキャラクターやお話を生み出したアーティストです。

2018年から2020年にかけて、
このレオ・レオーニをテーマとした展覧会が全国を巡回しています。

先日、東京・西新宿で開催されている
この「みんなのレオ・レオーニ展」に行き、
その展示がとても良かったので
レオ・レオーニやその作品について自分なりに感じたことや知ったことを
まとめておきたいなと思いブログを書くことにしました。

レオ・レオーニについて

レオ・レオーニがどんな人物だったのかをまとめてみました。

レオ・レオーニの来歴

レオ・レオーニ(またはレオ・レオニ)
LEO LIONNI

1910年、レオーニはオランダで生まれました。

イタリアで暮らした後、
第二次世界大戦の始まった1939年(レオーニ29歳)、
ユダヤ系であったためアメリカに亡命し
イラストレーター・グラフィックデザイナー・アートディレクターとして成功を収めます。

1959年(レオーニ49歳)、
孫のために制作した『あおくんときいろちゃん』で絵本作家としてのデビューを飾りました。

1962年(レオーニ52歳)、
再びイタリアの地へ戻り40冊近くの絵本を制作し、
1999年(レオーニ89歳)、イタリア・トスカーナで亡くなりました。

人物像についての補足

レオーニは裕福なユダヤ人家庭に生まれ、
亡命する以前には留学を含めベルギー、アメリカ、スイスなどでも
暮らしたことがありました。

英語、イタリア語、フランス語、ドイツ語など語学が堪能なうえ、
母親がオペラ歌手だったこともあり
音楽的な素養も感じさせる多才な人物です。

恵まれた才能・環境ではあったようですが、
時代的・地理的には
ユダヤ人にとって極めて大変な時代を生きた人なのだと思います。

そのような時代を生き抜いた人物が
美しく愛らしくどこか哲学的な絵本を描いたということに、
なんとなく考えさせられるものがありますね。

また、『はらぺこあおむし』などの作品が有名なエリック・カールとも交友があり、
カールが仕事を探しているときに
すでに成功を収めていたレオーニの元を訪れ、
ニューヨーク・タイムズの広報部の職を紹介してもらったという出来事があったそうです。

また、レオーニは子どもの絵本に初めて抽象的な表現を取り入れたアーティストでもあります。

レオ・レオーニの代表的な作品をちょっと紹介

1972年から日本の教科書にも採用されているお話です。
赤い魚の仲間たちのなかで自分だけが黒いスイミーという名の小さな魚のお話です。
その黒い体でやがて素敵なことを成し遂げます。

仲間のねずみが冬に備えて食べ物を集めるなか、
フレデリックだけは別のものを集めます。
やがてそれはみんなの役に立つものとなります。

じぶんだけの色を探すカメレオンのお話です。
やがて仲間のカメレオンに出会い、とても良いことを思いつきます。

その他、
レオ・レオーニの絵本は40冊近く発表されています。

他の作品も気になる方は
レオ・レオニフレンズ 公式サイトのBOOKSが作品の雰囲気がつかみやすく、
作品探しにおすすめです。

『みんなのレオ・レオーニ展』について

展覧会の感想や今後の巡回先についてまとめてみました。

特徴や感想

「みんなのレオ・レオーニ展」では
レオーニが生涯手がけた様々な作品が展示されています。

絵本作家としての作品、
イラストレーター・グラフィックデザイナー・アートディレクターの作品、
アーティストしての作品と、
レオーニの多才さを感じさせる多彩な作品が展示されています。

絵本原画

レオーニはコラージュやマーブリング、モノタイプ、スタンピング、フロッタージュと様々な技法を使い分けて絵本原画を制作しており、
レオーニの幅広い絵本表現が見られました。

雑誌の表紙、広告、ポスター

イラストレーター・グラフィックデザイナー・アートディレクターとして手がけた
様々な制作物が展示されていました。

『フォーチュン』誌の表紙や、
製菓モッタやオリベッティ社、
化学系企業デュポンなどの企業の広告、
アメリカ癌協会のポスターなどなど、
絵本の表現とはまた違う、
スタイリッシュでモダンな作品も多くみられました。

アニメ化作品

レオーニの作品は『スイミー』『フレデリック』『ぼくのだ!わたしのよ!』『さかなはさかな』『コーネリアス』などが映像化されています。

アニメといってもまるっきり書き直されるのではなく、
レオーニの表現方法に沿った作品になっていて
作画のための素材が展示されていました。

体の一つひとつのパーツごとに丁寧に素材が作られ、
動く絵本といった感じの
レオーニの絵本の世界観がそのまま表現されたアニメーションになっており、
会場でも映像が流され、素材と仕上がったものを両方見られる展示となっていました。

アーティストとしての自由な表現

アーティストとしてのレオーニの顔が見られる作品も展示されていました。

絵本も雑誌も広告もアーティストとしての表現ではあるのですが、
よりレオーニ個人の興味と好奇心のために制作されたもののように
感じられる作品がありました。

たとえば「平行植物」というシリーズでは
想像上の植物を図鑑のように一つひとつ描いていて、
空想をそのまま表現したかのような面白い作品です。

表現方法には彫刻もあり、
その不思議な世界が表現されていました。

また、「想像肖像」というシリーズは
その名の通り想像上の人物を描いた作品で、それぞれの人物に名前までついており、
しかもシリーズ全体として300点ほどあるのだそうです。

どちらも架空の植物や人物で、
それらに一つひとつ向き合い表現していくというのは、
よほどこれらの題材に心惹かれていたのだなと思いました。

絵本の作品からは想像できないようなこれらの作品をみられるのも、
この展覧会の面白いところだと思います。

今後の巡回先

「みんなのレオ・レオーニ展」は全国を巡回しています。
グッズが豊富なのでお見逃しなく!

「みんなのレオ・レオーニ展」公式サイト

2019年9月以降のスケジュール

東京会場
会場東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
会期 2019年7月13日(土)~9月29日(日)

鹿児島会場
会期 2019年12月7日(土)~2020年1月19日(土)
会場 長島美術館

沖縄会場
会期 2020年2月28日(金)~5月10日(日)
会場 沖縄県立博物館・美術館

おわりに

レオーニの絵本には、
可愛いという以上の面白さがあるので
少しでも興味を持った人は本屋さんで手にとってみてほしいです。

また、生の原画には絵本として収められる前の、
いきいきとした制作の様子が感じられるので展覧会まで足を運ぶこともおすすめです。

レオーニは子どもの絵本に抽象表現を初めて取り入れた人物であることからもわかるように既成の表現にとらわれず、様々な表現方法に挑戦し、
なおかつイラストレーター・グラフィックデザイナー・アートディレクターとしての実力もある類まれなバランス感覚を持つ人なのだと思います。

また、絵本のストーリー一つひとつをとってもどこか哲学的な問いを含むため、
性別や年代を問わず普遍的に楽しめる作品だと思いました。

まだ読んでいないレオーニの作品を、私もこれからひとつずつ読んでいきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。