読書

カズオ・イシグロ『日の名残り』|執事の目線で語られる大英帝国の名残りを感じさせる物語

こんにちは、Nagoya / Nagoyaka log の楓(@kaede_twi)です。

この記事では、
カズオ・イシグロ『日の名残り』
あらすじや感想について書いています。

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この作品の著者であるカズオ・イシグロは、
1954年に長崎で生まれ、
1960年に家族とともに長崎からイギリスへわたりました。

1989年に発表した『日の名残り』でイギリスの文学賞であるブッカー賞を受賞し、
2005年に日本でも親しまれている『わたしを離さないで』を発表しました。

そして記憶に新しい2017年、ノーベル文学賞を受賞しました。

ブッカー賞は、
イギリスでその年に出版されたもっとも優れた長編小説に与えられる賞です。

『日の名残り』はブッカー賞受賞作品であり、
今となってはノーベル賞作家の代表作品となりました。

『わたしを離さないで』を読んで
すっかりカズオ・イシグロに魅せられてしまったので、
今回はこの作品を読んでみることにしました。

『日の名残り』のあらすじ

イギリスのある館で執事を務めるスティーブンスは、
新しい主人に勧められ車でイギリスを旅し始める。
旅の最終目的はかつての同僚である女中頭に会うこと。

様々な出来事に思いを馳せながら旅は進んでいく。

執事としての輝かしい時代のこと、
同じく執事であった父のこと、
一緒に働き淡い想いを抱いた女中頭のこと、
そして長年仕えたかつての主人のこと。

やがて旅は女中頭との再会の地へ。

二つの対戦があり様々な変化のあった大英帝国と、
その渦に巻き込まれた主人を執事の目線で描きながら、
彼自身の淡い恋や今の彼の想いまでをも違和感なく描く。

『日の名残り』感想

ここからは感想を書いています。

ネタバレなしバージョンと、ネタバレありバーションがあるので、
まだ読んでいない方はご注意ください!

また、私が感じたことを素直にそのまま書いているので、
その点も併せてご注意ください。

『日の名残り』感想(ネタバレなし)

旅をしながら過去に思いを馳せるスティーブンス。

品格ある執事を目指したスティーブンスのかつての主人への忠実さが、
よき執事のあり方や、
かつての大英帝国の紳士というものがどういうものなのか
物語っているように感じました。

静かで穏やかな語りがつづくなかで
過去の回想と旅をしている現在を行き来し、
ヨーロッパの様子とイギリスの状況、
個人の内省や淡い恋までをも語るストーリーの展開に驚かされました

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⇩この下の感想、ネタバレありなので注意してください⇩

 

『日の名残り』感想(ネタバレあり)

静かに、緩やかに綴られたお話ながら、
すごい小説でした!!

上でストーリーの展開に驚かされたと書きましたが、
さらにいえば、
場面が転換するように
スティーブンスのなかで話題が転換していくのですが、
その流れも実際に誰かの話を聞いているときのように違和感なくスムーズ

人と話しているときに、
すごく聞き入ってしまっていたけど、
そもそもこの話ってもともとなんだっけ?
となりつつも、
違和感なく話がつながっているときの状況に似ています。
こういう印象を小説から受けたのは初めてでした。

スティーブンスの目から見た
かつての主人であるダーリントン卿についての描写は、
輝やかしくもあり、
やがて時代の流れの中で
卿への周りの評価が変わっていく様が切なくもありました

スティーブンス個人の執事としての振り返りは、
ときに自負し、
ミス・ケントンへの淡い想いが重なる部分では
ときに後悔するような複雑なものでした。

その複雑さがスティーブンスという人物がどういう人物なのかを
表現しているように思えました。

最後にウェイマスの桟橋近くのベンチで涙を流す場面は切ないものでしたが、
なかなか馴染めないでいる今の主人とのやりとりが、
未来へとつながるきっかけとなり、
私には彼が吹っ切れたように思えて良い終わり方だなと思いました!

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マメナチカ
マメナチカ
この本もすごいって驚いてたネ!
楓
うん!一言では言い表せないけど、かつてのイギリスの文化と歴史の一部分を見せてくれたような気がするよ。

最後までお読みいただきありがとうございました。